
社会人となってから2度の適応障害と会食恐怖症を経て、現在は双極性障害の治療中です。
そもそも双極性障害とは??
双極性障害はうつ病とおおむね同じうつ状態とその対極の躁状態が繰り返しあらわれる慢性疾患です。
双極性感情障害、双極症、躁うつ病とも呼ばれます。
以前は躁うつ病と呼ばれることが一般的でしたが
病的にエネルギッシュになる躁状態と気分が落ち込む抑うつ状態が繰り返し現われる病相から
両極端という意味合いの双極性障害と呼ばれるようになりました。
精神疾患の国際的な診断基準である「精神障害の診断と統計マニュアル(DMS)」の第Ⅳ版まではうつ病と同じく感情障害に分類されていました。
しかしDMSの最新版である第Ⅴ版ではうつ病は「抑うつ障害・うつ病性障害」、双極性障害は「双極性及び関連障害」と明確に区別されるようになりました。
うつの時にはどうしようもなくつらいので病院に行こうと考えに至りますが、
躁の時には非常に調子がいいと自分では感じるので病院へ行く方はほぼいないでしょう。
そのため双極性障害ということが発覚するまでに長い方で数年もかかってしまうケースもあります。
私の場合、かなり早い段階で主治医の先生から"躁"という言葉を聞いた・・・ような気はするのですが
絶好調で躁状態だったので
自分がおかしいとか精神疾患であるという自覚が全くなく
その後うつになってからことの重大さに気づくという・・・・典型的なパターンでした。
ここからは私自身の体験談をお伝えできればと思います。
躁状態のときの異変
- 自信とやる気に満ち溢れている
- なんでもできると思っている
- 心の底からハッピーで幸せだと感じる
- 思いつきですぐに行動するようになる
- ほぼ寝ない(でも元気)
- ほぼ食べない(でも元気)
- 過剰に水分を摂取する
- 尋常じゃなく浪費が激しい
- よく喋る、声が大きくなる
- 初対面の相手にもガンガン話しかけにいく
- ひとりで飲みに行ったり遊び歩くようになる→家に帰らなくなる
- 仕事が楽しくて会社が好きで仕方なくなる→家に帰らなくなる
- 足先からはじまり全身が高頻度でつるようになる
- 全身が痛くなる
- 徐々に体が動かなくなる
こんなところでしょうか。
一見、気持ち的な面ではプラスに思えるようなこともあるように感じるかと思いますが、
当時勤めていた会社のみなさんには「え・・・あの人様子がおかしいけどどうしちゃったの?」と周囲をざわつかせてしまっていたようです。
また、自分の業務量もかなり多く残業ばかりしていたのにも関わらず
社内のプロジェクトを全部やりたい!全部メンバーになりたい!と
はたから見たら無茶な発言をしており、実際にはすべてのプロジェクトメンバーにはなりませんでしたが
もしなっていたら自分も大変な思いをしていたでしょうし、他の社員にも迷惑をかけてしまっていたことでしょう。
寝ない・食べないに関しては自分自身は全くもって平気だったのですが
そのことで体はボロボロになっていることを自覚するまでに時間がかかりました。
だんだんと体に力が入らない部位が増えていきひどい時には右半身が自分の意思で動かすことができなくなっていました。
活動量が異常に増加したため、体重は通常時(47kg)より8キロ落ちました(39kg)
普段の自分からは考えられないようなお金の使い方もしてしまいました。
もともと節約志向だったので毎月のクレジットカード請求額は2万円ほどでしたが
躁のあいだは常に10万円以上、
酷いときには30万以上使ってしまったときもありました。
しかも何にそんなにお金を使ってしまったかよく覚えていないのです。
覚えていることとしては宝くじを万単位で購入したり競馬にハマったりしたことです。
最も取り返しのつかないことをしてしまったのは「離婚する!」と言い出して
家に帰らなかったり、実家に戻って別居生活をしたり
購入したばかりの自宅マンションを売却したことです。
本当に・・・・双極性障害というものは恐ろしい。
その時の自分はなんでもできる!私は正しい!と思ってしまっているからこそ
誤った判断や行動で人生そのものを狂わせてしまいます。
そしてその後におとずれるうつ状態。
躁の時に色々とやらかしてしまったことの尻拭いがうつの時には待っています。
うつ状態の時の症状
- 死にたい、消えたいと常に思う
- 激しい焦燥感(ざわざわする)
- 無気力
- 人に会うのが怖い
- 思考力、判断力の低下
- 決断ができなくなる
- 人の言っていることが理解できない
- 落ち着かない
- 一日中寝てしまう
- 何にも興味が持てなくなる
私に最初にあらわれた症状は思考力・判断力の低下でした。
前までできていた仕事が全然できなくなって、
会社の人が何を話しているのかもわからなくなって、
身近なモノの名称はわかるのになんのために使うモノなのかもわからなくなって、
突然会社に行くのが尋常じゃなくいやになって。
他の社員全員から無視されているような
嫌われているような感覚に陥り、
逃げるように会社を辞めてしまいました。
それからしばらく実家で引きこもって一日中ほぼずっと寝ている生活となり、
真っ暗な部屋の隅っこで電気コードを首に巻いて力いっぱい引っ張って、
首に痕がうっすら残るだけで死ぬこともできず
ギャンギャン泣いて
落ち着かなくって頭をかきむしって血だらけになったり。
自分以外の世の中のすべての人が幸せそうで、
卑屈になる自分も嫌で消えてしまいたかったです。
そんなわけのわからない状態の時に退職時の手続き(厚生年金・社会保険から国民年金・国民保険への変更の手続きなど)や
離婚する!なんて言ってしまったものだから引っ越しとそれにともなう手続き、
マンションの売却の作業(家財道具の処分など)をすすめなくてはならず
考えごとをしなければならない時は脳が沸騰して
高熱でクラクラしているような感覚で言葉では言い表せないほどしんどかったです。
もともとは適応障害で
その後に非定型うつと主治医は判断したので
双極性障害であることが正確にいつ発症したのかは定かではありません。
この1年で一生分のイベントを経験した
- 結婚
- マンション購入
- 会社からの表彰(この時が残業時間のピーク)
- 別居①(私が一方的に実家に帰る)
- 離婚協議開始
- 別居②(夫がマンションを出て行く)
- 一時同居再開
- 会社を辞める
- 別居③(夫婦共に住民票を別のところへうつす)
- マンション売却
- 離婚
全部が全部、障害のせいというわけではありませんが
双極性障害によって私の人生は激動したことは事実です。
今は通院と服薬で症状はやや落ち着いていますし、
実家に戻ったことで家族のサポートもありそれなりの生活ができるようになってきました。
経済的なこと、仕事のこと、将来のこと、
数えればきりがないくらいいろんなことが不安ではありますが
今はこの障害と向き合い、そして受け入れようと思い
なんとか生きていきます。
死ねないから生きる。
ではなく
生きたいから生きる。
そう心から思えるようになれればいいなと思います。
双極性障害の寛解に向けてより理解を深めたいひとや
体験談をもっとくわしく知ってみたいというひとは
双極性障害と共に生きる自分の育て方: 体験談と寛解への最短ルート Kindle版 りゆ (著)
